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黒五八白の捨て猫たち

答えのその先、深淵に入り込んだ言の葉達を、見境もなく捨てていきます。問うとすれば、それは人の探究心だけ。

【捨て物語】アニメ企画プロット「√Octagon〜オクタゴン〜」第1部

だいぶ以前に作った捨て物語です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー2,009年

 

ある冬嵐の夜。

国立王科病院で、女の子の赤ん坊が何者かに連れ去られる。

警察、自警体の必死の捜索も空しく、月日は1年、また1年と過ぎ、

世間を賑わした幼児誘拐事件は人の記憶から風化し、人々の記憶の片隅へと消え去っていった

 

ー2020年 東京(夏)

 

日本では東京オリンピック開幕まで、残すところあと3日と迫っていた

 

政府の長年に渡って押し進めたTPPの成立により、

インフラ、通貨、そして物流の国際標準化によって経済融合が図られた暁のこと。

 

東京オリンピックは、日本は再び世界中から注目を浴び、名声と富を欲しいままに、さらなる経済の発展と栄誉で、人種、文化の垣根を超えた歴史的な象徴になるはずだった・・・しかし。

 

一方で国際化の波とともに持つ者と持たざる者の熾烈な過当競争で、肥大化した資本主義はやがて鮮烈な階級闘争を引き起こすことになる。共通の時間的な価値である「貨幣」は、既に人の幸不幸を支える精神的支えの一端とはなりえなくなっており、その役割を終えようとしていた。

 

オリンピック前の経済の発展は、日本国内の貧富の格差に拍車をかけ、各地で暴動や紛争が勃発、人の感情は荒廃し、目のあたりにしたその世界は邪悪な何かに包みこまれていた。  

 

日本から端を発した労働階級の反逆的扇動運動は、全世界に波及し国家間の資本格差はとどまることなく、国際間の主義の対立、革命家の台頭が、世界各国に混乱を招いた。

 

オリンピック2日前に貨幣価値が乱高下し、仮想通貨への投機が過熱、その実態的な価値は崩壊し、大波となって経済的な混迷に拍車をかけ、ついに国際通貨機関であるIMFは非常事態宣言を発表するに至った。

 

東京オリンピック開幕一日前に国際通貨は全世界的に暴落、

空前の世界恐慌を引き起こし、世界各地で民衆による蜂起が勃発した。

 

ー2020年 東京オリンピック当日 8月11日

 

しかし世界的な混乱のさなか、東京オリンピックは強行されることになる。

 

停滞していた日本経済の成長鈍化に対して、アジア近隣諸国のほか諸外国のGDPやその成長率、飛躍的な躍進を前に、国際的な権威の尊重に対して危機感を募らせていた日本政府は、建前は日本文化と平和の象徴としての東京オリンピック、しかし実態は短期的な財政危機に対するオリンピック特需を狙った政府側の思惑がそこにあったのだった。

 

ー2020年 東京オリンピック開幕 8月11日 午前10:00

 

そして、聖火ランナーが新たに敷設された

新国立競技場の聖火台に灯をともしたその刹那、

空から一筋の赤光がスタジアムの中心に降り注いだ。

 

光線はスタジアムの地下深くまで突き刺ささると同時に、

地殻から爆発的な核反応が瞬間的に広がり業火とも言えぬ、

可視の領域を超えた地獄の光エネルギーが辺りを包みこんだのだった。

 

それは、科学だけが僅かだがとらえられる光速のプラズマで、

その波動は関東全野を震わせ、覆い、すべてを光の彼方へといざなった。

 

日本からはじまった災厄、赤光はその後、

世界経済を牛耳る国家の首都に次々と打ち落とされ、

ディアブロスロホス(赤い悪魔)として歴史に刻まれることになる。

 

この世のすべてを焼き尽くし、光が過ぎ去ると死の灰が地上に降り積もり、

自然光のすべてを遮る灰色のスリットによって太陽光は遮られ、

すべての色彩は水泡のごとく消えて無くなっていった。

 

 

そして、世界全土は瞬く間に、深い闇に包まれたのだった。

 

 

 

                          〜第2部につづく