黒五八白の捨て猫たち

答えのその先、深淵に入り込んだ言の葉達を、見境もなく捨てていきます。問うとすれば、それは人の探究心だけ。

【捨て物語】アニメ企画プロット「√Octagon〜オクタゴン〜」第2部

 

 

ー2021年

 

既存の主義や秩序、境界、ルール、時間の概念は消失し、

世界全土を巻き込んだ謎の赤光、ディアブロスロホス。

 

もし歴史というものがまだ存在するならば、

それは、古代ギリシアが体現したであろう暗黒時代に突入したのだった。

 

 

ディアブロスロホスによって、

世界全土を未曾有の食糧危機が襲った。

 

人類の人心は絶望的に荒廃し、

食糧を求めた暴動が各国内で勃発し、

やがて国家の生存競争を巡る世界戦争(第3次世界戦争)に飛躍していく。

 

国家が秘密裏に開発した科学技術を応用した、

AIによる人口知能を持った殺戮ロボット・戦闘ドローンによって、

プラズマを光学的に応用した波動砲、人口バイオ細菌兵器を駆使して人間を蹂躙し、

漆黒の闇の中に光線が幾筋も飛び交うと、あとに残る人の絶叫、嗚咽、無機質な機械音、

人とロボットによる戦闘が果てしなく続けられたその光景は地獄絵図以外の何物でもなかった。

 

―2023年

 

そして、科学戦争の残り香が大気中に拡散されると、

既存の化学・進化論体系では説明できない、

生物質の怪奇的な変異現象が表出していく。

 

それは遺伝子、生命の奇怪な超克進化、

人とも生物とも表すことのできない異形の個体。

この世の憎悪が分裂し存在化した闇の化身がうごめき始める。

 

人は、それを、「魔物」と呼んだのだった。

 

 

第3次世界戦争は、

科学と人間、魔物による、

熾烈な存亡戦争へと姿をかえていった。

 

そうした戦争の最中、

人の住む場所をミッドガルド、

魔物の住むその世界をウッドガルドと人は呼んだ。

 

その頃、日本では旧大阪、奈良、京都、の3県が中心となり、

一木藤次(いちきとうじ)による革命政府が樹立される。

 

科学と魔物の全面戦争と全体主義をとなえ、

至上の天声を持つ九音夏目(くおんなつめ)の歌声とともに、

民衆の心を一手に集め、魔物や科学の殺戮兵器との交戦をはじめていた。

 

―2027年

 

一木が作り上げた戦闘集団、デュランダルの奮闘により、徐々にミッドガルドの領域を拡大していった人間だったが、ウッドガルドに突如異変が起こる。

 

今や奈落の地となった旧帝都(東京)の地下深くから轟音が響き渡り、天に届かんばかりの摩天楼、のちにバベルと呼ばれるそれが、地殻から地上、天上へと伸びるように巨大な神殿が出現したのだった。

 

その後、デュランダルの諜報役である十次心(じゅうじこころ)の調査によって、バベルの実態は旧日本国政府軍であり、それが科学兵器の出自であることが判明したのだった。

 

科学兵器を駆使してミッドガルドへの侵攻を行う政府軍は、

八月女影久(やおとめかげひさ)を頭首にして漆黒の闇組織であり、

科学集団ヴァルハラを結成し、革命軍デュランダルへの攻撃を強めていった。

 

この頃、ミッドガルドでは、科学と魔物に対抗する能力者達が現れていた。

 

彼等は、七色の光線を放ち、空を飛び、時を操り、傷を治癒し、火を、水を、風を、自然界で起こりうる超常現象を巧みに操り、具現化し、闇にうごめくその魔物と科学兵器を前に死闘を繰り広げていた。その能力は、人智を遥かに超えたものだった。

 

人々は、彼等を“アポカリプス(天恵少女)”と、呼んだ。

 

そしてその特殊な能力が開花するとアポカリプスの右手の甲に、

能力に応じた赤い紋章(ブレス 神の息吹)が浮かんでくるのだった。

 

ヴァルハラ(政府軍)の科学者はアポカリプスの脅威の能力を前に、そのチカラを解明・解剖し再現化することで、その強大な戦闘力を得ようとあらゆる作為を行使した。この過程の中で、人々の中に紛れ込むアポカリプスを見つけ出すことを目的に考えられるあらゆる手段が用いられ、それは度重なる虐殺を生んだ。

 

政府軍の科学者による“魔女狩り”がはじまったのだ。

 

だが、ついに科学者が突き止めたものは、アポカリプスには、能力の存在を保持するための何らかの制約がある、姿かたちは人間そのもので、能力を持つ持たざるのも人間の成長過程の中に因子がある、分かったのはその程度の奇跡の痕跡だけであった。

 

革命軍の頭首である一木もまた扇動能力を持つ、アポカリプスの一人だったが、彼らが率いる革命政府はこうしたヴァルハラの侵攻に相対していた。

 

その一方で、予知能力(ツクヨミ)を持ったアポカリプス、夜空四針(よぞらししん)が予言する、来る2年後、ヴァルプルギスの夜に現れる、魔物の集合体で絶望の闇、“魔王イブリース”に立ち向かうため、ある装置を秘密裏に開発していた。

 

 

それが“天啓の禁書目録”である。

 

彼等は、この禁書目録を使って、世界中にその使命を負った人々に分け与え、アポカリプスの能力や秘術を分け与えていった。

 

禁書目録を持つ者を、人は“魔導師”と呼んだ。

 

禁書目録によって能力を開花させた少女をホルダーと呼んだが、アポカリプスの証明であるブレスの紋章が彼らの右手に表れることはなかった、、、ただ一人の少女を除いては。

 

ホルダーの特殊能力は、アポカリプスに及ぶことはなかったが、それぞれの能力ごとにアポカリプスを長としたユニット(リーデル)を組成し、統率力を高めることで、政府軍からの防衛、魔物への対抗の要としデュランダル全体の力を強めていったのだった。

 

禁書目録によってアポカリプスの能力を開花した唯一の少女は、黒五八白(くろごやしろ)だった。しかし、この時はまだ、開花させた能力をアポカリプスと同等のチカラで駆使できる、ということしか分かっていなかった。

 

 

 

                             第3部につづく