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黒五八白の捨て猫たち

答えのその先、深淵に入り込んだ言の葉達を、見境もなく捨てていきます。問うとすれば、それは人の探究心だけ。

【君の夏は。】ティンダーであった本当に○○な話

 

 

ティンダーって知ってる?

 

 

人をほぼ顔で判断して異性と出会える、

女性なら永年無料で使える神アプリ。

 

 

そこそこやりやりの友達から、

ティンダーのことを聞いたのは2ヶ月前のこと。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

こんばんは、私の名前はまりん。

テキスト情報でよろしくね。

 

彼氏なんてもう5年以上いない私は、

ときめき欠乏症の治療薬として、

秒速でティンダーを選んだ。

 

 

 

ほどなく、私はそこそこにはまった。

 

 

 

私の男の需要は無視して、

私が男を需要とする時に、

ティンダーをそそくさと使う。

 

もう何人と出会ったのかしら。

 

数に興味がないから数えない

興味があるのは潜在的なときめきね。

 

 

 

 

つまり、プロフィール写真よ。

 

 

 

 

こう見えなくても私は博愛主義だから

皆〜んな友達だけど、恋愛は別物。

 

今日もタイプを、せこせことポチってるわ。

 

 

でも、そんな私にもかげりが・・・。

 

 

 

 

千夜一夜物語を繰り返した私にとって、

ワンナイトなんてもう興味も欲望もない。

 

 

私がティンダーに求めるもの。

それは彼氏を見つけること。

 

 

 

欲望より、ほんまもんの情欲が欲しいの。

のどごしより、コク。振動より微振動。

 

 

 

愛する彼がいれば、

私はずっと恋する乙女。

 

 

 

その理想を求めて、

現実の今はポチポチとただ、

ときめきの雫を求めている。

 

 

 

 

今宵も一人、マッチング。

 

 

 

 

見つけた!

 

 

 

ナイスなメンズ、

37歳独身ひげイケメン。

 

 

須藤キングとは、いかした名前ね。

池袋在住かしら。

 

新宿で働く弱冠27歳の私とは、

10歳も違うけど大丈夫。

 

レイガンとか邪眼とか妖狐を出せば、きっと話が合うはず。

 

 

早速光速で連絡して、

彼の仕事の都合で遅いけど、

今夜21時から会うことになったの。

 

晩夏の夜にはあっちーな。

 

 

もちろん場所は、五反田駅よ。

 

女の特権は自認してるわ、

私の独り住いが五反田なの、

つまり、モ・ヨ・リ♡

 

今日は早めに仕事を切り上げて、

家に寄ってシャワー浴びてキレイキレイして、

ワンピとビーサンで向かいましょ。まりんの海物語。

 

 

 

ラフすぎるぐらいがちょうどいいの。

 

 

 

彼とはいつも性根で付き合いたいから、

今日も私は薄っぺらな衣服をまとって、

裸のコミニケーションがしたいの。裸婦ではないわよ。

 

ま、私の眼がログインした男を目の前にすると、

私らしく振舞えなかったのが今までのまりん。

 

でも、今日でそれも止める、終わるの。

か弱き、心の渇き。

 

 

 

そんな、矢先。

彼から連絡が入った。

 

「五反田ね!了解!

ついでにお店も予約しといたよ〜

遅くなってごめんね。」

 

 

 

 

できる。

間違いなく仕事できる。

 

しかも、このお店。

 

あらやだ、

私の家から徒歩3分だわ。

 

駅から結構遠いのに、

このお店を選ぶなんて、

彼は相当な強運の持ち主。て私か。

 

私の心、ときめきナウ中です笑

 

さっ

そろそろデートの準備を始めないと

 

 

 

 

 

どれどれ

 

 

 

 

 

もぞもぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

ふむふむ

 

 

 

あら、彼の家、

中目黒に住んでるなんてお洒落さん

 

ん、お仕事はアパレル関係

セレクトショップバイヤーね

展示会、講演もしてるわ、上等ね

 

え、SNSの詮索しすぎだって?

 

今の時代、普通じゃなくて。

使えるものは使う、当たり前よ。

 

アポより準備に時間をかける。

ビジネスでも鉄則でしょ。

 

綺麗事より、私は確信が欲しいの。

 

決してストーカーじゃないわよ、

技術としての「ストーキング」ね。

 

実際、まりんのストーキングスキルは、

三本の指に入ります。なんの?

 

さてと、きもい話は置いといて、

彼のプライベート写真はっと。

 

 

おおー

んん

おっ

おや…

 

 

 

ティンダーの写真が1番ね。

妄想より現実は意外とフツメンかも、背も私より低いかもん。

 

 

まっ、でもいっか。

 

幻滅なんてしない。

 

できそうだし、

面白そうな彼だし、ヒゲだし。

 

質は1番大事だけど、

やっぱ量の範疇よ、質は、実は。

 

数撃てば、当たると信じて、

一人酒よりふたり酒。一人娘、私。

 

 

 

 

〜〜〜須藤さんと会う3時間前、18時ごろ〜〜〜

 

 

 

 

はぁ、そろそろやっと仕事も定時だわ。

 

今日も疲れたし、

出勤で汗かいたし、

ビールが早く飲みたいなぁ

 

 

21時なんて待てないよぉ

コクより、のどごしちょーだい 

 

てか、なんか体調悪くなってきた、

気がする。

 

 

ん〜

ん〜

ん〜

 

 

彼とのデート

ちょっとめんどいかも。

 

 

いや、本当に体調悪いから。

 

原因は彼のプライベート写真じゃありませんわ。

まさかね。

 

 

 

 

ん〜、でも〜

 

 

なんか気乗りしなくなってきたし。

 

 

 

店まで予約してもらって、

ドタキャンは流石に悪いよね〜〜

 

でも、本当に体調悪いし。

 

彼に申し訳ないよな〜

 

 

お父さまにも昔から、

 

人にやられて嫌なことは絶対人にしちゃダメだ

 

て、言われて育って、

今の私、彼を裏切ろうとしてる。

 

 

 

でもな〜

本当に体調悪いし

 

 

でも、お母様には、

絶対無理はしちゃダメよ、

 

って言われて育ってきてるし。

 

 

体が第一、一人娘だし。

 

 

 

 

 

 

 

。。

 

 

 

 

 

。。。

 

 

 

 

決めた!

 

 

 

「須藤さん、本当ごめんなさい!

急に仕事がトラブっちゃって。

土壇場で五反田で申し訳ないけど、

今日行けなくなっちゃった。」

 

 

 

 

本当にごめんなさい。

でも、今日仕事忙しかったし。

 

あ〜〜、でも良心の呵責、罪悪感、アベマリア。

 

 

もうなんか落ち込んじゃったし、

疲れたし、今日はもう帰って、

1人でビール飲もっと。

 

 

 

 

ピコ

 

彼からの返信だ。

 

 

 

「了解〜〜!

残念だけどまたね!」

 

 

須藤さん、

なんてイケメン。

本当にごめんなさい。

また会う日まで、本当だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

、、

 

 

 

 

 

 

、、、

 

 

 

 

 

〜〜〜今夜、20時ごろ〜〜〜

 

 

 

私は今、ワンピとビーサンで、

カクヤスに居るよー

 

 

 

ビールは勿論スーパードライ

つまみは〜〜。豆腐とみょうが。

ってないか〜

 

 

今日のつまみは、

イカめんで我慢、我慢。

 

 

 

 

 

〜〜〜今夜、20時15分ごろ〜〜〜

 

 

 

 

 

マンションとうちゃーく!

さっき帰り道でオヤジにじろじろ足見られた〜

嫌ね〜もう。

 

 

ついでだし、

久しぶりにポストでも確認するか〜〜

 

 

 

 

 

、、

 

、、、トントン

 

 

 

 

後ろ手に、

私の肩に響く微振動。

振り返りたいけど、なぜか振り返れない。

 

 

 

 

 

 

 

君の名は。

 

 

 

君が本当の、

 

 

 

 

須藤キング

 

 

 

 

 

 

 

                                             おしまい