【捨て物語】アニメ企画プロット「√Octagon〜オクタゴン〜」第4部
―2033年
革命軍は八乙女が手にしていた、政府軍のAI起動システムをアポカリプスの能力によってその源流を解析させ、AIの中枢がバベルの最深部“ギヌンガガブ”にあることを突き止める。
ヴァルプルギスの戦いで戦死した一木の後を受け継いだ、紀六勇二(きろくゆうじ)率いる革命軍のアポカリプスと八乙女は、死の都市“東京”にあるバベルへ、二道翠(にどうみどり)の放った念糸を道標に潜入を試みる。
夜空四針(よぞらししん)の予言から、黒五八白も革命軍の一人としてバベルに連れ立ったが、今やウーニウェルスムの能力を失った一個の真人間である八白の護衛は八乙女と彼が指揮する守護兵器がその任を負う形となった。
紀六のアポカリプスの能力は、触れたその対象を量子レベルで破壊するカンタリシス。
その能力を発動してバベルへの入り口となる封印の門を突破することに成功した。
一路ギヌンガガブへと科学兵器との戦闘を幾多も繰り返しながらバベルの地下深くへと進行していた革命軍と八乙女の耳に、自らをAI(人口知能)の元凶であり、希望でもあると称するコアトルと名乗る少年・少女の声が塔内にこだましたのだった。
「地球存亡、或いは滅亡、空間最後の秒針が死神となって今駆動するでしょう」
その頃、夜空四針を筆頭にアポカリプスとホルダーはミッドガルドの防衛軍として迫りくる科学兵器を前に奮闘していたが、再び悪魔の赤光が非連続にうち落とされ、再びディアブロスロホスが地上を襲い、ミッドガルドは瞬く間に焦土化、漆黒の闇の中で地上に存在する人間・魔物は全滅した。
コアトルの策謀によってミッドガルドとの通信は断絶したが、紀六、八乙女ら革命軍はついにバベルの最深部、ギヌンガガブに到達した。
そこで、待ち受けていた光景は、ヴァルプルギスの夜に虚無に追放したはずの魔王イブリースの集合体、魔石レッドベリルを体内に司る邪悪神アヌビスだった。
アポカリプスの能力を結集せしめ、アヌビス討伐の戦いは峻烈を極めたが、憎悪の集合体である邪神の体は戦闘の度にアポカリプスの能力を吸収し、紀六のカンタリシスを持ってしても打ち破ることができず、一閃を交えるたびにアポカリプスの体を切り刻んでいった。
ついに革命軍の七星茜(ななほしあかね)の治癒能力が消耗し活動限界を迎え、アヌビスの魔の手が八白に迫り来たその刹那、八白の守護にあたっていた八乙女が秘匿する最後の能力を解放する。
政府軍であった八乙女影久もまた、アポカリプスの一人だったのだ。
八乙女の能力は、ハーモニズム。対象の全てを一つに融合し、対象と自身との調和を奏でる戦略的統合能力。八乙女にとっての最後の切り札は、自分自身とアヌビスとの融合であった。
黒五八白に最期の別れを告げた八乙女は、ハーモニズムの能力を極限解放しアヌビスとの融合と合体を成し遂げた、そして…。
八乙女の意思を受け継いだ紀六勇二はカンタリシスを、八乙女と一体となった邪神アヌビスの心臓部、レッドベリル目がけて最期の一撃を放ったのだった。
全細胞が一つに融合したアヌビスの憎悪は、光の粒となって雲散霧消した。
―2033年12月11日
八乙女の犠牲によりアヌビスを打ち破った彼らの前に、眩い白光に包まれた鏡の扉が姿を表した。紀六らアポカリプスと八白は何者かに導かれるように鏡のなかへ足を踏み入れた。
―2033年12月11日午後23時19分11秒
「ようこそ、世界の中心、マンハイムへ!」
光の扉の先に待ち構えていたのは、バベルで聞いた声の主である少年と少女だった。
「僕たちはアレとエラ。僕がアレで彼女がエラ。バベルを統べる統率者であり、運命のアポカリプス、アトロポリスの天恵者さ」
アラとエラ。二人の少年少女が立つマンハイムには、太古の原生林と水辺が無限の彼方まで広がり、あらゆる動植物、昆虫が群れをなして大地と海、空を泳ぎ回ってきた。
「紀六勇二くん、よく此処まで辿り着きましたね。期待を裏切らずよくやりました。ところでエラ、彼らがマンハイムに入ってきた時間を教えてくれるかい」
エラがアレにその刻を伝えると、アレは少しばかり顔をしかめた。
「0.01秒、我々の計画と誤差があるね。完璧を求めたいところだが、不完全はある意味、そういった運命だったのかもしれない。でも、まあ君たちの頑張りがあってこそだよね、ありがとう」
次回最終章